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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
線上閱讀古川 緑波《ロッパの悲食記(おもいで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 頁
色町洋食
大久保恒次さんの『うまいもん巡礼』の中に、「古川緑波さんの『色町洋食』という概念は、実に的確そのものズバリで」云々と書いてある。
ところが、僕は、色町洋食なんて、うまい言葉は使ったことがないんだ。僕の所謂日本的洋食を、大久保さんが、うまいこと言い変えて下さったもの。然し、色町洋食とは、又何と、感じの出る言葉だろう。
もっとも、これは関西でないと通じない、東京では、色町とは言わないから。
で、僕も、大久保さんの、色町洋食という言葉を拝借して、その思い出を語らして貰おう。
色町洋食と言われて、いきなり思い出したのは、宗右衛門町の、明陽軒だ。入口に、磨硝子の行燈が出ていて、それに「いらせられませ、たのしいルーム」と書いてあった。
その、たのしいルームへ、僕は幾たび通ったことであろう。
南の妓、AとBとCと――ああ思い出させるなア、畜生――然し、そういう色っぽい話は又別のことにしよう。やっぱり僕は、専攻の洋食について語らねばならない。
A女は、アスパラガスを好みたりき。
B女は、「うち、チキンカツやわ」と言う。その、「カツやわ」を、「カッチチヤワ」と発音する。