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ひとつぼかん

一坪館

海野 十三

線上閱讀海野 十三《一坪館(ひとつぼかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,902 字 · 56 頁

青空文庫

サービスも一生けんめいやっているんだが、思うようにお客さんが来てくれない。どうすれば、うんとお金が手に入るかなあ)

そのころ新聞には、毎日のように強盗事件が報道されていた。一夜のうちに、強盗の手にわたる金額は何十万円、何百万円にのぼった。源一は、まさか強盗になろうという気はしなかった。しかし世間の家には、よくまあそんな大きな金がころがっているものだと感心した。そのような金を、すこし僕に貸してくれないものだろうか。せめて十万円だけ費してくれる人があれば、うすっぺらな板を使ったにしろ、とにかく家らしいものが出来るんだが、しかしこの源一のねがいは、夢でしかなかった。誰もそんな金を貸してやろうといってくれなかった。

その日の早朝、源一はオート三輪車で風を切って街道をとばしていた。花を仕入れるため、多摩川の向岸まで行く用があったのである。まだ陽が出たばかりで、田畑にさえ人影がなかった。

そのとき、同じ道のずっと前方から、こっちへ向って走って来る自動車があった。それはアメリカ軍が使っているジープといわれる小型のものだった。それがスピードを出していると見え、うしろにもうもうと砂けむりをあげていた。