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かじとポチ
一房の葡萄
有島 武郎
線上閱讀有島 武郎《一房の葡萄(かじとポチ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 23,753 字 · 48 頁
所からは黒いけむりと白いけむりとが別々になって、よじれ合いながらもくもくと立ち上っていた。
「安心なさい。母屋は焼けたけれども離れだけは残って、おとうさんもおかあさんもみんなけがはなかったから……そのうちに連れて帰ってあげるよ。けさの寒さは格別だ。この一面の霜はどうだ」
といいながら、おじさんは井戸ばたに立って、あたりをながめまわしていた。ほんとうに井戸がわまでが真白になっていた。
橋本さんで朝御飯のごちそうになって、太陽が茂木の別荘の大きな槙の木の上に上ったころ、ぼくたちはおじさんに連れられて家に帰った。
いつのまに、どこからこんなに来たろうと思うほど大ぜいの人がけんか腰になって働いていた。どこからどこまで大雨のあとのようにびしょびしょなので、ぞうりがすぐ重くなって足のうらが気味悪くぬれてしまった。
離れに行ったら、これがおばあさまか、これがおとうさんか、おかあさんかとおどろくほどにみんな変わっていた。おかあさんなんかは一度も見たことのないような変な着物を着て、髪の毛なんかはめちゃくちゃになって、顔も手もくすぶったようになっていた。ぼくたちを見るといきなり駆けよって来て、三人を胸のところに抱きしめて、顔をぼくたちの顔にすりつけてむせるように泣きはじめた。