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ななじゅうぶんかのとし
七重文化の都市
野上 豊一郎
線上閱讀野上 豊一郎《七重文化の都市(ななじゅうぶんかのとし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,586 字 · 27 頁
次に中世に入っては(三)アラビア人に依って回教化され、フスタトと呼ばれて今の旧カイロの部落を残し、更に(四)トルコ人の治下でマスルと呼ばれて今のマスル・エル・アティカの区域を残し、次に(五)ギリシア系回教徒に依って今日のカイロの基礎が置かれ、名称もカヒラと改められ、次に近世に入って(六)カヒラはカイロとなり、中世以来の回教都市はその上に国際都市的色彩を加えた。それには(七)フランスとイギリスの勢力が根強く潜在するようになったのを見遁すことはできない。つまり、七種の文化が七重に堆積して出来上った複雑怪奇な都市でカイロはあるということになる。
そうしてその変遷の過程を跡づけて見ると、発展の径路はニルの左岸に始まって右岸へ移り、更に南から北へと移動している。これは一つはニル流域の地理的変化に因るといわれるが、一つはまた時代に依って変った交通機関の影響もあっただろうし、更にまた新しい侵入者がいつも古い都市を灰燼にする習慣のあったことも考慮に入れなければならないだろう。
とにかく、そんな風にして都市が動き変り、古い物の上に新しい物が重ねられ、その度に文化の様式が改変され、以前からの種族の中に別の種族が割り込み、殊に近代に於いては近東地方からもヨーロッパ諸国からも多くの種族が流れ込んで、全く今日のカイロは宛然たる人種