輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
線上閱讀海野 十三《三人の双生児(さんにんのそうせいじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 頁
そしてとうとう妾は永久に故郷の所在を父の口から聞く術を失ったのであった。それから後ずっとこの方、故郷はお伽噺の画の一頁のように、現実の感じから遠く距ってしまったような気がする。
幸いに父が持って歩いていたトランクの中に、相当多額の遺産を残して置いてくれた。それは主として宝石と黄金製品とであったが、父が海外で求めて溜めていたものであろう。その遺産故に妾を世話する人もあって、こうして東京の地に大きくなることが出来たのであった。いま妾は至極気楽に見える生活をしている。数年前には、話が出来て聟をとったけれど、彼は二年ばかりして胸の病気で針金のように痩せて死んでしまった。それからこっち妾は気楽に見える若い有閑未亡人の生活をつづけている。再縁の話も実は蒼蠅いほどあるのではあるが、妾は一も二もなくこれをお断りしている。結婚生活なんて、そんなに楽しいものではないからである。それにこの節は、結婚などということよりも、もっともっと気にかかることがあって、その方へすっかり精力を引よせられているので、男のことなんか考えている余裕がないのである。気にかかることというのは、もちろんこれまでにお話したとおり、生死不明の妾のはらからを探しあてることが出来るかどうかということである。