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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁
「良輔」
大作は、和やかな眼で、眺めた。
「はい」
「わしは、十七八年、平山先生について学んで、ようよう心らしい心になったが、お身は、三年にしかならぬ。よく、その決心がついたの」
「恐入ります」
「血気だけではできんことだ」
「決して、逸っているのでは御座りません」
「逸っていてもよい。お身が、相馬大作といっても、大作はわし一人しか無い。逸った大作、逸らぬ大作、何れにしても、世人に与えるものが同じならよい。先生は、お喜びになるであろう」
鶏が鳴いた。
「夜鳴している」
と、大作が呟いた時、寺の鐘が、時刻を知らせた。
「寝よう」
と、いって、床へ入った大作は、すぐ寝入ってしまったらしく、静かな寝息が聞えてきた。良輔は、興奮に冴えた眼を、闇の中で、開きながら
(眠るのと、眠られぬのと、これが心の到る、到らんの差だ)
そう思いながら、眠ろうとしていると、隣りの部屋で、低く
「南無阿弥陀仏」
と、繰返している男がいた。
(あの男――あの侍、何処かで、見たことのありそうな――)
と、良輔は思ったが、思い出せぬ内に、寝入ってしまった。
十八
南町奉行附与力、曾川甚八が、足早に出てきて