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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁

青空文庫

一人が、板壁に立ててある突棒をとって、しごきながらいった。

「拙者が、案内を乞う。取次が出てくる。押問答になる。それだけ――まず、命に別条の無い方へ廻りたい。百石の御加増はいらんが、命はいる。拙者は不用だが、あの妓がいると、おっしゃる。はいはい左様で御座い」

一人は、平服のまま、そんなことをいって、人々を眺めていた。

「一人、二人で懸かれる相手か。皆、水盃だ」

右源太は、吐出すようにいった。組下の足軽共が、玄関へ揃ったらしく、騒がしい話声が聞えてきた。

「大抵の咎人は、逃げかくれするから、こちらも忍んで行かなくてはならんが、大作へは、まるで、戦支度の気持だのう」

「念のために、刀を三本位差して行くか」

「大作が手練者の上に、飛道具があろうし、門人の加勢も見ねばならず――」

「拙者は、そう心得て、胴を下着の下へつけて参った」

一人が、自分の胸を、どんと叩いた。こつと音がした。

「拙者も」

と、いって、一人が部屋を走って出て、稽古道具の方へ行った。右源太は、その人々の走るのを見ると同時に

「待て、わしも」

と、叫んで、柱に、ぶっつかりながら、道具部屋の方へ追っかけて行った。