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さんにんきょうだい

三人兄弟

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《三人兄弟(さんにんきょうだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,630 字 · 22 頁

青空文庫

二 右の道

」と、一郎次が言いました。

「真中の道が一番近そうだ。」と、二郎次が言いました。

「いや、左の道が一番近そうだ。」と、末の弟が言いました。

すると、一郎次は、何やら考えた後で、

「私は、一番右の道が近いように思うのだ。が、どの道を行っても、都へ行き着けるのは確だ。兄弟が一緒に揃っていては、奉公口を見つけるにも都合が悪くはなかろうか。それよりも、皆別れ別れに、自分の近いと思う道を歩いて、銘々の運を試して見ようか。」と、言いました。

「それは、よい思付だ。」と、二郎次はすぐ賛成しました。三郎次は、兄たちに別れるのはちょっと悲しうございましたが、根が元気のよい若者ですから、

「それなら、そうする事にしよう。」と言いました。

それで、一郎次は、右の道を、二郎次は真中の道を、三郎次は左の道を進むことになりました。別れる時に、二郎次は兄と弟を振り返りながら、

「たとい、ここで別れても、兄弟が、めいめい都で出世すれば、必ずどこかで逢えるに違ない。」と、元気よく言いました。

二 右の道

先ず、初めに右の道を進んだ一郎次のお話をいたしましょう。

一郎次は、弟二人と別れて、足を早めて、歩きましたが、その道は大層景色のよい道で、両側には美しい秋草が咲き乱れていました。