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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《三四郎(さんしろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 頁

青空文庫

気の毒なような庭である。ただ土だけは平らで、肌理が細かではなはだ美しい。三四郎は土を見ていた。じっさい土を見るようにできた庭である。

そのうち高等学校で天長節の式の始まるベルが鳴りだした。三四郎はベルを聞きながら九時がきたんだろうと考えた。何もしないでいても悪いから、桜の枯葉でも掃こうかしらんとようやく気がついた時、また箒がないということを考えだした。また椽側へ腰をかけた。かけて二分もしたかと思うと、庭木戸がすうとあいた。そうして思いもよらぬ池の女が庭の中にあらわれた。

二方は生垣で仕切ってある。四角な庭は十坪に足りない。三四郎はこの狭い囲いの中に立った池の女を見るやいなや、たちまち悟った。――花は必ず剪って、瓶裏にながむべきものである。

この時三四郎の腰は椽側を離れた。女は折戸を離れた。

「失礼でございますが……」

女はこの句を冒頭に置いて会釈した。腰から上を例のとおり前へ浮かしたが、顔はけっして下げない。会釈しながら、三四郎を見つめている。女の咽喉が正面から見ると長く延びた。同時にその目が三四郎の眸に映った。

二、三日まえ三四郎は美学の教師からグルーズの絵を見せてもらった。