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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《三四郎(さんしろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 頁

青空文庫

ところへ遠くから荷車の音が聞こえる。今静かな横町を曲がって、こっちへ近づいて来るのが地響きでよくわかる。三四郎は「来た」と言った。美禰子は「早いのね」と言ったままじっとしている。車の音の動くのが、白い雲の動くのに関係でもあるように耳をすましている。車はおちついた秋の中を容赦なく近づいて来る。やがて門の前へ来てとまった。

三四郎は美禰子を捨てて二階を駆け降りた。三四郎が玄関へ出るのと、与次郎が門をはいるのとが同時同刻であった。

「早いな」と与次郎がまず声をかけた。

「おそいな」と三四郎が答えた。美禰子とは反対である。

「おそいって、荷物を一度に出したんだからしかたがない。それにぼく一人だから。あとは下女と車屋ばかりでどうすることもできない」

「先生は」

「先生は学校」

二人が話を始めているうちに、車屋が荷物をおろし始めた。下女もはいって来た。台所の方を下女と車屋に頼んで、与次郎と三四郎は書物を西洋間へ入れる。書物がたくさんある。並べるのは一仕事だ。

「里見のお嬢さんは、まだ来ていないか」

「来ている」

「どこに」

「二階にいる」

「二階に何をしている」

「何をしているか、二階にいる」