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あるくこと

三好十郎の仕事 第三巻

三好 十郎

線上閱讀三好 十郎《三好十郎の仕事 第三巻(あるくこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,472 字 · 667 頁

青空文庫

柴田 ありがとう――

清水 これは――(と床の上に置いた包を持ちあげて)クラスの者から、先生に差しあげてくれ――ジャガイモです、すこしですが。皆で持ち寄って、もっとたくさんにしてとも話し合ったんですが、持ち寄ると言っても、どうせ買って来る――するとけっきょく闇で、先生お食べにならんから、なんにもならん。――そいで、しかたがないので、グランドのクラスの畑に出来たのが、まだ残っていたもんですから――。

柴田 ……(あきれたように、口をすこし開けて清水を見ている)

せい ……(手早くヤカンに水を入れ、火を燃すために、そこの薪を小さく割ろうとして手斧を取りあげたまま、清水の言葉を聞いていたが)まあ、ねえ!(パチパチと眼ばたきをしていたが、着物の袖で涙を拭く)……それ程、先生のこと思って下すって。

清水 (吐き捨てるように)なあに、これっぱっち、なんにもなりません。

せい (寄って行き、ていねいに頭を下げて、包をいただいて食卓の端にのせる)……皆さんによろしくお礼をおっしゃって――。いえね。私ども、チットはたしにしようと思って、セッセとやっちゃいますけど――今も、あなた、それなんですの――けど、なんしろ、焼跡でしょう、レンガやガラスだらけで、そう急にチャンとした畑になりやしません。