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おりき

三好十郎の仕事 第二巻

三好 十郎

線上閱讀三好 十郎《三好十郎の仕事 第二巻(おりき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,279 字 · 238 頁

青空文庫

好日

1 朝

オルゴールの曲。

室数二十は下るまいと思われる、堂々たる邸宅の、庭に面した二つの座敷。梅雨季の薄曇りの朝。石も樹も格式通りに布置されてサビの附いた庭が、手入れを怠ったため、樹や草の少し伸び過ぎたのがムッと明るい。座敷の、上手の広い室(十五六畳)の縁側近く据えた紫檀の机の前に坐っている三好十郎。机の上には、原稿紙とペン、それから今鳴りわたっているオルゴールしかけの卓上煙草入れ。その辺の調度類とも、まるきり、ふさわしく無い青しょびれた風貌で、セルの着物の袖つけの所の大きくほころびたのを着て、痩せた肩を突っぱらしている。煙草をくわえたまま、ボンヤリとオルゴールに聞き入っている。邸内はシーンと静まり返っている。……オルゴール、曲を奏し終って鳴りやむ。……三好、しばらく原稿紙を見詰めていた末、フト、ペンを取り、書きそうにするが、またペンを置き、何か考えていてから、ブルンと頭を振って、煙草を取ってパタンと煙草入れのふたをすると、オルゴール再び鳴り出す。三好、煙草に火をつけるのも忘れ、それをボンヤリ聞いている。……間。……オルゴールの曲が終りに近づく。