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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
併しどの奉公人もそれを承知で住み込んだものばかりですから、別に苦労とも思わなかったのです。お近さんなどは宿下りで自分の家へ帰ったときに、それを自慢らしく両親に吹聴し、親たちも一緒になって喜んでいたくらいでした。
それで済めば天下泰平、いや、些とぐらいの騒動が起っても大丈夫であったのですが、こゝに一つの事件が出来した。というのは、この屋敷のお嬢さまが病気になったのです。なにしろ殿さまも奥さまも前に云ったような気風の人たちですから、どうも今時のわかい者は気に入らない。したがって、今日までに縁組の相談があっても、あんな柔弱な奴のところへは嫁に遣れないとか、あんな不心得の人間を婿には出来ないとか、色々むずかしいことを云って断ってしまうので、自然に縁遠い形になって、お嬢さまは二十一になるまで親の手許にいて、相変らず薙刀や竹刀撃の稽古をつゞけている。そのうちに何という病気か判らない、その頃の詞で云うとぶら/\病というのに罹って、どうも気分がすぐれない、顔の色もよくない。どっと寝付くほどの大病でもないが、なにしろ半病人のすがたで、薙刀のお稽古もこの頃は休み勝になりました。