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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
「これは静かなところでゆる/\と御養生遊ばすに限ります。」
医者もこう勧め、両親もそう思って、お嬢さまはしばらく下屋敷の方に出養生ということになりました。大きい旗本はみな下屋敷を持っています。三島家の下屋敷は雑司ヶ谷にありました。お近さんもお嬢さまのお供をして雑司ヶ谷へゆくことになったのは、安政四年の桜の咲く頃で、そこらの畑に菜の花が一面に咲いているのをお嬢さまは珍しがったということでした。
二
どこでも下屋敷は地所を沢山に取っていますから庭も広い、空地も多い。庭には桜や山吹が咲きみだれている。天気のいゝ日にはお嬢さまも庭に出て、木の陰や池のまわりなどをそゞろ歩きして、すこしは気分も晴れやかになるだろうと思いの外、うらゝかな日に庭へ出て、あたゝかい春風に吹かれていると、却って頭が重くなるとか云って、お嬢様はめったに外へも出ない。たゞ垂れ籠めて鬱陶しそうに春の日永を暮している。殊に花時の癖で、今年の春も雨が多い。そばに附いている者までが自然に気が滅入って、これもお嬢さま同様にぶら/\病にでもなりそうになって来ました。医者は三日目に一度ずつ見まわりに来てくれるが、お嬢さまは何うもはっきりとしない。