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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
お朝が裏手の井戸に身を投げて死んでいるのでございます。いつどうして死んだのか判りません。ひょっとすると、照之助のことが露顕したのは、お朝が十兵衛に密告したのではないかとも思われますが、証拠のないことですから、なんとも申されません。
わたくしはなんの御咎めも無しに翌日長のお暇になって、早々に親許へ退りましたが、照之助はどうなりましたか、それは判りません。生きたまゝで長持に封じ籠められて、それぎり世に出ることが出来ないとすれば、あまりに酷たらしいお仕置です。わたくしが奥様のお使さえ勤めなければ、こんなことも出来しなかったのでございましょう。ほんとうに飛んでもない罪を作ったと一生悔んでおります。それ以来、芝居というものがなんだか怖ろしくなりまして、わたくしはもう猿若町へ一度も足を踏み込んだことはございませんでした。師匠の小翫の話によりますと、照之助の美しい顔はそれぎり舞台に見えないと申します。
それから三年ほどの後に、わたくしは不動様へ御参詣に行きましたので、そのついでに御下屋敷の近所まで竊と行ってみますと、御屋敷は以前よりも荒れまさっているようでしたが、二棟の土蔵はむかしのまゝに大きく突っ立って、古い瓦の上に鴉が寒そうに啼いていました。