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せかいぶんがくたいけい58 カフカかいせつ

「世界文学大系58 カフカ」解説

原田 義人

線上閱讀原田 義人《「世界文学大系58 カフカ」解説(せかいぶんがくたいけい58 カフカかいせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,252 字 · 32 頁

青空文庫

カフカの小説の非完結性は、エメリヒのいうような意味によってばかりでなく、一つの現象を反対のものによっても述べるということを極限まで実行している彼の方法からきている。どんな叙述の可能性についても、無数のちがった、しばしば矛盾するような可能性を対置させるのが彼の方法である。真実の全体をとらえるためにこうした方法を取っていくわけであるが、全体的な人間存在の現象はあまりにも多様な姿をおび、錯雑しているので、さまざまに受け取れるような比喩的な形象を極度に抽象化していってさえも、あらゆる可能性を包括するような完全な全体像を、カフカが脳裡に思い浮かべているとおりに表現するまでには到達することができなかったのだ、というのである。なお、これと関連して、カフカが長編のなかで長々と書いている議論の奇妙な展開というものも理解すべきであろう。それらはいかに退屈に見えようとも、カフカの弁証法ともいうべき重要な特質を示す部分と見なければならない。『審判』のなかの弁護士や画家の叙述、『城』のなかのバルナバスの家でのオルガの叙述あるいは秘書ビュルゲルの叙述といった個所は、そのもっともいちじるしい例と考えられる。