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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第八巻(『ケプロン・くろだのこうそう』について)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 頁

青空文庫

それは食糧問題が、再軍備の議論の中に、あまり表向きに出てこない点である。考えられてはいるのであろうが、少くも一番大切な問題として、表向きには取り上げられていないようである。

とくに再軍備絶対反対を唱えている人たちは、この点にもっと留意すべきではなかろうか。戦前でも食糧は不足していたので、昭和六年から十年までの五ヶ年間の平均を見ても、毎年一千二百万石以上を輸入していた。戦後はとくにひどくて、総輸入額の四割から五割が食糧である。この代金は大部分進駐軍の落す金と、朝鮮事変の「恩恵」とで賄われてきた。即ち再軍備の方向に向うことによって、食糧を輸入していたのである。

それで再軍備を拒否するならば、その前に食糧の自給の問題を、もっと真剣に考える必要がある。敗戦の年の冬を、今一度思い起してみよう。みみずのはいっている澱粉かすを背負って、汽車の窓を破って乗り込んだことを思えば、再軍備も平和もあったものではない。

こういうことをいっても、何も早く再軍備をして、朝鮮へでもどこへでも出かけて行って、それで食糧を買えというのではない。そういうことは反対なので、それをせずに済ますには、まず食糧の自給をはかる必要があるというのである。