輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 頁
うつ向いて箒の手を動かしていると、眼に入るのは近くを往来する人の足ばかりだ。
知った人が声をかけてゆく。
通る人の足をよごさないように気をつけてはいたが、誰かにお低頭をされた拍子だった。ふと箒の先に思わぬ力がはいって折りから掃きためてあった塵埃が飛んで、ちょうど前を歩いていた人の裾から足袋へしたたかかかった。
はっとして顔をあげると、
着流しに蝋鞘の大小を差した、すこしふとり気味の重々しいお侍である。
切れ長の眼じりに細い皺を刻んで、じっと立ちどまったまま、埃りを浴びた足もとと、箒をさげてどぎまぎしている老婆の顔とをしずかに見くらべている。
喜左衛門の女房は、背中に火がついたように狼狽した。
お手うち! 斬られる! 斬られないまでも、どんなおとがめがあろうも知れぬと思って、はっとすると舌がこわばった。
「あれッ! とんだ、また、粗相をいたしまして! どうぞ殿様、どうぞ御料簡なされてくださりませ」
とっさにこう詫びると同時に、のめるように飛んで行って前掛けの先で侍の足を払おうとした。
と、侍は二、三歩さがって、おだやかに笑った。
「ああ、よいよい。あやまちは誰にでもあること――自分で拭くから心配はいらぬ」