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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 頁

青空文庫

同時に、おどろきと怒りを通りこした一種のおかしみが、頭から与吉の半纒をかぶった栄三郎の胸にまるで自分が茶番でもしているようにこみ上げてきた。

ぷッ! こいつ、おもしろいやつ! というこころ。

で、瞬間、なんの抵抗も示さずに、充分抱きつかせておいて、……調子に乗りきったつづみの与吉が、

「ざまあ見やがれ、畜生! 御託をならべるのはいいが、このとおり形なしじゃあねえか」

と!

見得ばかりではなく、江戸の遊び人のつねとして、喧嘩の際にすばやくすべり落ちるように絹裏を張りこんでいる半纒に、栄三郎の顔を包んで一気にねじ倒そうとするところを――!

するりと掻いくぐった栄三郎。ダッ! と片脚あげて与吉の脾腹を蹴ったと見るや、胡麻がら唐桟のそのはんてんが、これは! とよろめく与吉の面上に舞い下って、

「てツ! しゃらくせえ……!」

立ちなおろうとしたが、もがけばいっそう絡みつくばかり。あわてた与吉が、自分の半纒をかぶって獅子舞いをはじめると……。

「えいッ!」

霜の気合い。

栄三郎の手に武蔵太郎が鞘走って、白い光が、横になびいたと思うと、もう刀は鞘へ返っている。

血――と見えたのは、そこらにカッと陽を受けている雁来紅だった。