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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 頁

青空文庫

やがて。

真夜中ごろであろうか、一大音響をたてて船が衝突すると、あらしをついて栄三郎、泰軒が、左膳の船中へ乗り入り、まもなく月輪の三士をことごとく斬りふせたとき! かなわぬと見た左膳。

ただちに手にした夜泣きの大小を海中へ投じたが、すかさず! 栄三郎が水へもぐって、沈まんとして流れてきた二刀を拾い上げ、船へ泳ぎ戻った。

そして!

その二剣を、船中に倒れていた弥生の手に握らせた時、ニッコリした弥生は、それを改めて栄三郎へ返してただひとこと。

「どうぞお艶さまと……」

かすかに洩らしたのが最期。

さびしい――けれども、いい知れぬ平和な満足が、金華山洋上あらしの夜、弥生の死顔のうえにかがやいたのだった。

泪をぬぐった栄三郎が、泰軒の指す方を見やると、はるか暗い浪のあいだに、船板をいかだに組んで、丹下左膳の長身が、生けるとも死んでともなく、遠く遠くただよい去りつつあった。

遠く遠く、やがて白むであろう東の沖へ……。

なんという長い月日であったろう!

かくしてここに、乾雲坤竜の二剣、再び諏訪栄三郎の手に返ったのだった。

青葉若葉……。

六月のなかばの江戸である。