輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぼしぞう

久生十蘭短篇選

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《久生十蘭短篇選(ぼしぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,344 字 · 96 頁

青空文庫

法皇も呆れて、二人の子供を見てやるようにと注意したので、泰文は渋々子供の学費を出すことに同意したが、基房の差出口がよくよく癇にさわったとみえ、間もなくひどいしっぺい返しをした。

祇園の八坂の社の東南のあたりに後白河法皇の寵姫が隠れていた。江口の遊女で亀遊といい、南殿で桜花の宴があったとき、喜春楽を舞って御感にあずかったという悧口者で、世間では祇園女御と呼んでいたが、毎月、月初めの三日、清水寺の籠堂でお籠りをすることを聞きつけると、走水の黒鉄という鉢叩きに烏面をかぶせ、天狗の現形で籠堂の闇に忍びこませて通じさせたうえ、基房の伽羅の珠数をそばに落してきた。亀遊は基房の珠数を見知っていたので、むずかしいことになりかけたが、走水の黒鉄が捕まったので、すべて泰文の仕業だったことがわかった。黒鉄は磔木に掛けられてさんざんに打たれたが、泰文の後楯があると思っているのか、いっこう平気な顔で「ほとほとに(女洞の掛言葉)舟は渚に揺るなり、あしの下ねの夢ぞよしあし」などと猥がわしい和歌を詠み、面憎いようすだった。

後白河法皇の院政中は、口を拭っておとなしくさえしていれば、なにをしてもゆるされた寛大な時代だったが、泰文の放埒はいささか度をこえているので、法皇も困りきり、都離れのしたところでしばらく潮風に吹かれてくるがよかろうと