輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《二つの庭(ふたつのにわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 頁
空虚感ははうずめられなければならないというように、ぼんやりした哀感が湧いて来るのを伸子は感じた。高校生の保が瞑想と自分の部屋の入口に貼紙するこころもち、そのこころもちの動機は、何と微妙に、しかもどっさり、ここの家の生活の明暮れにあることだろう。伸子は、ベルを鳴らした。この間電話をかけたとき、はア、はアとばかりいっていた新しい女中が、ドアから首を出した。
「ここをかたづけてね、――それからお湯わいているかしら、お茶がほしいんだけれど」
「はア」
「保さんに、お鮨とってあるの?」
「――さあ」
「ここへ出したっきり?」
「はア」
「ともかくかたづけて――おときさんはいるんでしょう?」
「はア」
ときは、台所専門で、もう二年ばかり佐々の家にいた。
「じゃ、そういっておいて頂戴、今晩は、こちらで御飯たべてかえりますからって……」
「はア」
四時すぎて、保が帰って来た。
「ああ姉さんもいたの!」
保は、和毛のかげの濃い上唇をうれしそうにゆるめて、こまかく詰った白い歯なみを見せながら笑った。そして、からだを半分廊下にのこしていたドアをひろくあけて、客間へ入って来た。
「この前来たとき、保さん珍しくおそかったのね、雑誌って、どうした?」