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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《二十世紀鉄仮面(しつらくえんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,489 字 · 77 頁
と頷いて、「その一部が屍体の合掌さ。あれを見ると、絶命から強直迄の間に、犯人が余程複雑な動作をしたと見なけりゃならん。所が、そんな跡は何処にも見当たらないと来てるんだ」
法水はそれには別に意見を吐かなかったが、再び屍体を見下ろして頭顱に巻尺を当てた。
「熊城君、帽子の寸法で八吋に近い大頭だよ。六五糎もあるのだ。無論手近の役には立たんけれども、兎角数字と云うやつは、推論の行詰まりを救ってくれる事があるからね」
「そうかも知れない」熊城は珍らしく神妙な合槌を打った。
「場所もあろうに、頭の頂天に孔を空けられて、それでいて抵抗も苦悶もした様子がないなんて――。こんな判らずずくめの事件には、ひょっとすると、極くつまらない所に解決点があるのかも判らない。時に君は、手口に何か特徴を発見したかね?」
「たった、これだけのものさ。――尖鋭な鏨様のものが兇器らしいが、それも強打したのではなく、割合脆弱な縫合部を狙って、錐揉み状に押し込んだと云うだけだ。所が見た通り、それが即死に等しい効果を挙げているんだ」
意外な断定に、二人は思わずアッと叫んだが、法水は微笑みながら註釈を加えた。