輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しつらくえんさつじんじけん

二十世紀鉄仮面

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《二十世紀鉄仮面(しつらくえんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,489 字 · 77 頁

青空文庫

その堂々たる弁説と容疑者とは思われぬ明朗さには、一同の度胆を抜くものがあった。

その間法水は外方を向いて、この室の異様な装飾を眺めていた。今入った板戸の上の長押には、土蜘蛛に扮した梅幸の大羽子板が掲っていて、振り上げた押絵の右手からは、十本程の銀色の蜘蛛糸が斜に扇形となって拡がって行き、末端を横手の円い柱時計の下にある、格子窓の裾に結び付けてあった。

「ハハァ、鉄輪の俥があった頃の趣味だね」と法水は初めて朔郎に声を掛けた。

「ええ、奥さんと云う方は、古風な大店の御新造さんと云った型の人ですからね。それに、これは去年の暮私が頼まれて作ったのですが、蜘蛛糸は本物の小道具なんですよ」

「すると、君は背景描きをやっているのかい」そう云って法水が端の一本を摘むと、それは、紙芯に銀紙を被せた柔かい紐だった。

その時窓外からボンと一つ、零時半を報らせる沈んだ音色が聴こえた。それは朔郎の室に適わしくない豪華な大時計で、昨年故国に去った美校教授ジューベ氏の遺品だった。然し正確な時刻は、格子窓の上にある時計の零時三十二分で、その時計には半を報ずる装置はなかったのである。

それから、朔郎の饒舌が胎龍夫妻の疎隔に触れて行って、散々夫人の柳江を罵倒してから、最後に頗る興味のある事実を述べた。