輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
線上閱讀壺井 栄《二十四の瞳(にじゅうしのひとみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 頁
ふなれな手つきで水棹を押す大吉と、見なれぬ大石先生に、昔どおり村の子どもはぞろぞろ集まってきた。しかし、そのどの顔にもおぼえはなかった。永い年月の衣料の不足は、質素な岬の子どもらのうえにいっそう哀れにあらわれていて、若布のようにさけたパンツをはき、そのすきまから皮膚の見える男の子もいた。笑いかけるとおびえたような目をしたり、無感動な表情のまま深い関心を見せて道をひらいた。珍らしげにじろじろ見るのは昔のままであった。その好奇の目にとりかこまれながら、大石先生ははずみをつけてとびおりた。石ころ一つにさえ昔のおもかげが残っているようななつかしさ。少し船に酔ったらしく、頭がふらついた。ゆっくり歩いていると、うしろにささやく声がした。
「たいがい、せんせど、あれ」
「ほんな、おじぎしてみるか、そしたらわかる」
思わずにっとした顔の前へ、ばたばたと三、四人の小さな子どもが立ちふさがり、ぴょこんと頭をさげた。新学期に近づいて新入生におじぎがとり入れられたのをしおに、まだ学校ではないらしい小さな子らも、まねているのであろう。会釈をかえしながら、大石先生は涙ぐんでいた。