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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
線上閱讀壺井 栄《二十四の瞳(にじゅうしのひとみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 頁
昼めしぬきの彼女は、つかれかたもまたはやかったろうし、がまんできなくなったのだろう。道ばたにしゃがんで、ええン ええン と声を出して泣いた。すると、ミサ子と富士子がさそわれて、しくしくやりだした。みんなは立ちどまって、ぽかんとした顔で泣いている三人を見ていた。じぶんたちも泣きたいほどなのだ。元気づけてやることばなど、出てこなかった。きびすをかえせばよいのだ。もう帰ろうや、と、だれかがいえばよいのだ。しかしだれも、それさえいいだす力がなかった。マスノや小ツルさえ、困惑の色を浮かべていた。彼女たちにしても、泣きだしたかったのだ。しかし泣けなかった。いっそ、みんなで泣き出せば、どこからか救いの手がのべられるだろうが、それにも気がつかなかった。
初秋の空は晴れわたって、午後の陽ざしはこの幼い一団を、白くかわいた道のまん中に、異様さをみせてうしろから照らしていた。家へ帰りたい気持はしぜんにあらわれて、知らずしらず歩いてきた道のほうを向いて立っていたのである。その前方から、警笛とともに、銀色の乗合バスが走ってきた。瞬間、十二人は一つの気持にむすばれ、せまい道ばたの草むらの中に一列によけてバスを迎えた。