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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁
I 探すのはそれからだわ。でもねえ、チルチル、お母さんが心配なさりはしないかしら。
J 君たちが、再びお母さんの家に戻ってくるようなことにならない、とだれにわかるものか。
*2
高崎に向かう汽車の窓で、居睡りして、こんな夢を見た。
……静かな夜明けの村はずれで、冷たい風がしきりに頬を吹いていた。僕は黙々と何かの感慨に耽りながら、支那人部落の赤土道を歩いていた。
「お早う、統さん。今ごろどこへ」
橋本と節ちゃんと道ちゃんとが、通りすがりに手をつないで、通せんぼをして見せた。
「――いいえ! 行かなくちゃならないんです」
夢から醒めた人のように、僕はふと驚いた眼をみひらいて、自分の声の烈しさに気がついた。
そうして、森のほうにつづいた畦道を僕は独りで辿って行った。考えごとをつづけながら。時おり、その俯むいた首を悲しげに振りながら。
*3
僕の誠実さが僕を磔刑にした。
*4
疲れた。あらゆる単語が、日ごとに僕の辞書から消えてゆく。かつて所有した壮麗な柔軟な文体。それをさえ抹殺した「天邪鬼」の見栄と自負。
あの日の僕はどこへ行ったのだろう。