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はたちのエチュード

二十歳のエチュード

原口 統三

線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁

青空文庫

*161

破壊者の手は「権利」によって汚されている。悪魔は嫉妬屋たちに「権利」の槌を与え、彼らはこれを「正義」と称するのである。

無垢の小鳥は、絶えず、この暴虐な猟人の銃口の前で怖れおののいている。

*162

沈黙の楽園はもう失われたのか。

小鳥は武装しなければならぬ。

*163

無垢。――この壊れやすい僕の唯一の金剛石。

*164

僕は穢らわしいと思ったものを一枚一枚脱いで行った。

「安慰」、「満足」、「傲慢」。なべてこれらのものは、僕が立ちつくすたびごとに、僕の身辺に寄り添おうとしてくるのであった。

何が汚穢を感じさせたか。「僕の皮膚の敏感さが感じるのだ」と僕は答える。

*165

感覚を砥ぎすますこと。――これが第一だ。

*166

ところが、今日、僕はふと「寒い」と思ったのだ。

「着物を見つけなければならぬ」

これは、悪魔と、天使が口をそろえてすすめてくれたことではあったが。

僕は恐らく、夢を見て来たのに違いない。

*167

自意識は蝸牛の角のようなものだ。それはちょっとした刺戟によっても眼をさまし、己の殻の内側に身をすくめる。