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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁
平等主義。――歴史家は詩人の時代は去ったと説く。詩人自身もこう思っているらしい。「ここでわれわれの個性は地の下に圧えつけられて芽を出す機会がない」と。
*217
根室での寝言。
「せっかく、一度入った者を、もう一度落とすなんて怪しからんじゃないか」
橋本や、都留や、児島がもし、あれについて何も言わなかったら、僕もただそれだけの夢として葬っただろうし、いつの間にか忘れてしまっていただろう。
けれども、彼らが「怪しからんじゃないか」という口振りを、いかにもおもしろそうにまねするたびごとに、僕の心は人知れぬ傷口の痛みに苦しんだ。
われわれは自分一人では問題ともせず、気にもとめない一見些細なことでさえ、他人によってそれを投射されると、本能的な反射作用で表面を守ると共に、投影された跡について冷たい反省の眼を向けざるをえない。ところで他人にはそんなつもりは、さらにないのだ。
あの時以来、僕は自分が二十歳をまだ越えない歳ごろにいるということを知っている。
何でもなかったことが、潜在意識の流れの上に投げこまれた、もともと見当違いのはずの一石によって、思いがけない認識に達するということ。