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にしょうじょ

二少女

国木田 独歩

線上閱讀国木田 独歩《二少女(にしょうじょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,398 字 · 16 頁

青空文庫

少女は此二階家の前に来ると暫時く佇止って居たが、窓を見上げて「江藤さん」と小声で呼んだ、窓は少し開ていて、薄赤い光が煤に黄んだ障子に映じている。

「江藤さん、」と返事が無いから、少女は今一度、やはり小声で呼んだ。

障子がすっと開いたかと思うと、年若い姿が腰から上を現わして、

「誰た?」

「私。」

「オヤ、田川さん。」

「少し用事が有て来たのよ、最早お寝?」

「オヤそう、お上がんなさいよ、でも未だ十時が打たないでしょう。」

「晩く来てお気の毒様ねエ」と少女は少しもじもじして居る。

二階の女の姿が消えると間もなく、下の雨戸を開ける音がゴトゴトして、建付の曲んだ戸が漸と開いた。

「オヤ好い月だね、田川さんお上がんなさいよ」という女は今年十九、歳には少し老けて見ゆる方なるがすらりとした姿の、気高い顔つき、髪は束髪に結んで身には洗曝の浴衣を着けて居る。

「ちょっと平岡さんに頼まれて来た用があるのよ、此処でも話せますよ、もう遅いもの、上ると長座なるから。……」と今来た少女は言って、笑を含んでいる。それで相手の顔は見ないで、月を仰だ目元は其丸顔に適好しく、品の好い愛嬌のある小躯の女である。