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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《人外魔境(じんがいまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,384 字 · 42 頁

青空文庫

とは、誰がみようと分るまいというのである。そうして、その翌夜「恋鳩」へいった。

歓楽地、リオへ遊ぶ一等船客級相手のナイトクラブ――。財布の底まで絞りにしぼって、オケラになったらまたお出でというのが、此処だ。したがって、リオの歓楽中いちばん暗黒のものが、賭博場をはじめ洩れなく揃えられている。

「君、一丁賭くか」そんな声が、はやとっ突きの玉転がし場からも響いてくる。婦人の、キラキラかがやくまっ白な胸、脂粉、歌声、ルーレットの金掻き棒の音。二人が、内部のキャバレーへはいると、パッと電気が消える。

※(歌記号、1-3-28)これは白い 白いは肌

と、舞台の歌声とともに緞帳があがるが、だんだん、その白いというのが肢だけでなくなるというのが、「恋鳩」のナイトクラブたるところだ。それから、キャバレーを出てちょっと口を湿しているうちに、ふいにカムポスがなにを見たのか、ボーイを呼びとめてあれと顎をしゃくって見せた。

「君、あのご婦人はなんて方だね」

ボーイは、ちょっとその方向をみるや、にこりと笑って、

「さすが、旦那さまはお目が高ういらっしゃる。あの、ちょっと小柄な金髪でございましょう。