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じんぞうにんげんエフし

人造人間エフ氏

海野 十三

線上閱讀海野 十三《人造人間エフ氏(じんぞうにんげんエフし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 頁

青空文庫

一つのボールからは、黄いろい煙、もう一つのボールからは赤い煙が、ずんずんと波のうえにたちのぼるのであった。

「ほら、はじまった。誰か、船のなかから、へんじのかわりにあの煙をだしたのだ。いよいよこれはへんなことになったぞ」

老紳士は、ふなばたにつかまって、煙をにらみつけた。飛行機は、煙のあがるのをまっていたらしく、このとき機首をめぐらして、ずんずんもときた方にかえっていった。

「船長、船長!」

老紳士は、こんどは船長をよびだした。船長とて、このへんな事件をしらないではなかった。船員のしらせで、さっきから船橋にでて、このありさまをすべてみてしっていた。

「やあ大木さん。あなた、あまりさわがないでください。船客たちのなかには、気のよわい方もいますからね」

大木さんというのは、この老紳士の姓であった。

「だって、これがさわがずにいられますかね。だからわしは、船の出る前から、船長にあれほど注意しておいたのじゃ。たしかにこのウラル丸は、港をでるまえから、わるいやつに狙われていたんじゃ。うっかりしていると、このウラル丸は沈没してしまいますぞ」

老紳士は、目のいろをかえていた。