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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《仇討姉妹笠(かたきうちきょうだいがさ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 頁

青空文庫

不意に女の声が聞こえた。

「あぶない! 気をおつけ! 背後から!」

瞬間に主税は地へ仆れた。

「あッ」

その主税の体へ躓き、背後から切り込んで来た一人の武士が、こう叫んで主税のからだ越しにドッとばかりに向こうへ仆れた。

疾風迅雷も物かわと、二人目の武士が左横から、なお仆れている主税を目掛け、拝み討ちに切り付けた。

「わ、わ、わ、わ――ッ」とその武士は喚いた。脇腹から血を吹き出しているのが、木洩れの月光に黒く見えた。

その武士が足を空ざまにして、丸太ん棒のように仆れた時には、とうに飛び起き、飛び起きざまに引き抜き、引き抜いた瞬間には敵を斬っていた、小野派一刀流では無双の使い手の、山岸主税は返り血を浴びずに、そこに聳えていた大楠木の幹を、背負うようにして立っていた。

が、それにしても何と大勢の武士に、主税は取巻かれていることか!

数間を距てて十数人の人影が、抜身をギラギラ光らせながら、静まり返っているではないか。

(何物だろう?)と主税は思った。

しかし、問さえ発っせられなかった。

前から二人、左右から一人ずつ、四人の武士が殺到して来た。

(死中活!)

主税は躍り出で、前の一人の真向を割り、返す刀で右から来た一人の、肩を胸まで斬り下げた。