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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《仇討姉妹笠(かたきうちきょうだいがさ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 頁
が、そういう無知の彼にも、何となくこの独楽が凡作でなく、そうして制作されて以来、かなりの年月を経ていることが感じられてならなかった。
この独楽は直径二寸ほどのもので、全身黒く塗られていて、面に無数の筋が入っていた。
しかし、文字などは一字も書いてなかった。
「変だ」と同じことを呟きながら、なおも主税は独楽を見詰めていたが、また心棒を指で摘み、力を罩めて強く捻った。
独楽は烈しく廻り出し、その面へ又文字を現わした。しかし不思議にも今度の文字は、さっきの文字とは違うようであった。
「淀」という文字などは見えなかった。
その代わりかなりハッキリと「荏原屋敷」という文字が現われて見えた。
「面の筋に細工があって、廻り方の強さ弱さによって、いろいろの文字を現わすらしい」
(そうするとこの独楽には秘密があるぞ)
主税はにわかに興味を感じて来た。
すると、その時背後から、
「お武家、珍しいものをお持ちだの」と錆のある声で言うものがあった。
驚いて主税は振り返って見た。
三十五六の浪人らしい武士が、微笑を含んで立っていた。
髪を総髪の大束に結び、素足に草履を穿いている。夕陽の色に照らされていながら、なお蒼白く感じられるほど、その顔色は白かった。