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こんにちのぶんがくのてんぼう
今日の文学の展望
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《今日の文学の展望(こんにちのぶんがくのてんぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,109 字 · 83 頁
(引用、青野季吉氏「能動精神の擡頭について」)と理論づけられたのである。
舟橋聖一氏の作品「ダイヴィング」芹沢光治良氏「塩壺」等、いずれも能動精神を作品において具体化しようと試みられて、当時問題作とされたものであり、三田文学に連載中であった石坂洋次郎氏の「若い人」もやはりその作品のもつ行動性という点で、(行動の方向は評価に際しぬきにされて)注目をひいたのであった。
現実生活の内部の矛盾は、行動主義文学者によってブルジョアジーと知識階級人一般の良心との激化する対立としてとりあげられたのであるが、日本におけるヒューマニズムの文学が提唱後四年経た今日に至っても未だ一種模糊退嬰の姿におかれているのは、社会情勢によるとは云え、その出発に於て、プロレタリア文学の蓄積と方向とを否定しつよくそれと対立しつつ、悪化する情勢には受動的で、社会矛盾の現実は知識人間にも益々具体的な階級分化を生じつつあるという社会・文化発展要因を抹殺したところに起因している。
上述のような行動主義文学の理論の擡頭につれて、その能動精神への翹望の必然と同時に、真にその精神を能動的たらしめるためには、今日急速に生じている中小市民層の社会的立場の分化、知識人の階級的分化の実情にふれて理解しなければならぬとする論者の現れたのは、極めて当然のことであった