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こんにちのぶんがくのてんぼう
今日の文学の展望
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《今日の文学の展望(こんにちのぶんがくのてんぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,109 字 · 83 頁
」以上の推論の結着として、横光氏は、人間活動の真に迫れば迫るほどそれは実に瞠目的に大通俗であり、それを描きぬけば通俗でなくなる、「純文学にして通俗小説」たらんとする純粋小説(この言葉もフランス文学からの移植として)の主張が、成立てられたのであった。(傍点筆者)
興味ある点は、横光氏が人間の全き姿を、内部の思考と外部の行為との相互的発露、統一、矛盾において描くべきものと見ず、飽くまで両者の「中間」にその重点をおくべきものとしている点である。しかも、その肝心のところに、この作家にとって主観的に理解され自意識されていて、その社会的・心理的本質の追究はまぬかれている自意識というものをおき、そこで、偶然と必然という、人類が社会と思想との発展の歴史に決定的な関係をもって来た問題が溶かされ、今日の現実、近代人の現実は大偶然であるとし、「純文学であって通俗小説」の可能を見、「私などは初めから浪曼主義の立場を守り、小説は可能の世界の創造でなければ純粋小説とはなり得ないと思う」と断言したのであった。
ロマンチシズムの本質にある燃焼性と横光氏の自意識なるものとの関係も注意をひかれるところである。