輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

よれいはつたび

余齢初旅

上村 松園

線上閱讀上村 松園《余齢初旅(よれいはつたび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,003 字 · 32 頁

青空文庫

今度の支那ゆきはその意味において一切のわずらわしさがなく、そしてもしそういうものがあっても向うの人がすっかりそれをやってくれるという約束であった。かりに汽車がさる駅につくとすると、私はだまって汽車をおりればよい。出口で人ともみ合わなくともよい。汽車にのればちゃんと私の座席がそこにとってくれてある。そういったわけで一切合財何から何まで先方の人がやってくれる。私は彼地で一枚の絵もかかなくてよい。皇軍の慰問も京都で色紙をかいてもって行くことにしたので、家を出てからは何にもかかなくてもよいようになっていた。そうして約一ヵ月ほどのあいだぽかんとして、無言の旅を続ければよい。もちろん口をきいても向こうには通じないのだし、人にやってもらった方がゆきとどくわけなのであった。そうして幾年来の生活からきれいさっぱりとかけ離れた旅行をすることになったのであった。生まれてはじめての旅といっていい、私にとっては長距離の、そしてながい日数の旅であった。

この旅行はよほど前からすすめられていたのであったが、なかなか実現が出来ずにそのままになっていたのを今度おもい切って決行することにしたのであった。