輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しゅんかん

俊寛

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《俊寛(しゅんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,455 字 · 35 頁

青空文庫

俊寛は、砂を噛み、土を掻きむしりながら、泣いた。

船は、飲料水と野菜とを積み込み、成経と康頼とを収めると、手を合わして乗船を哀願する俊寛を浜辺に押し倒したまま、岸を離れた。

そして、俊寛をもっと苦しめるための故意からするように、三反ばかりの沖合に錨を投げて、そこで一夜を明かすのであった。

俊寛は、終夜浜辺に立って、叫びつづけた。最初は罵り、中途では哀願し、最後には、たわいもなく泣き叫んだ。

「判官どの、のう! 今一言申し残せしことの候ぞ。小舟なりとも寄せ候え」

「基康どの、僧都をあわれと思召さば、せめて九国の端までも、送り届け得させたまえ」

が、俊寛の声は、渚を吹く海風に吹き払われて、船へはすこしもきこえないのだろう。闇の中に、一の灯もなく黒く纜っている船からは、応という一声さえなかった。

夜が更くるにつけ、俊寛の声は、かすれてしまった。おしまいには、傷ついた海鳥が泣くようなかすかな悲鳴になってしまった。が、どんなに声がかすれても、根よく叫びつづけた。

そのうちに、夜はほのぼのと明けていった。朝日が渺々たる波のかなたに昇ると、船はからからと錨を揚げ、帆を朝風にばたばたと靡かせながら巻き上げた。