輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちゅうとう
偸盗
線上閱讀芥川 竜之介《偸盗(ちゅうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,934 字 · 97 頁
兄も黙っていれば、弟も口をきかない。しんとした夜は、ただ馬蹄の響きにこだまをかえして、二人の上の空には涼しい天の川がかかっている。
八
羅生門の夜は、まだ明けない。下から見ると、つめたく露を置いた甍や、丹塗りのはげた欄干に、傾きかかった月の光が、いざよいながら、残っている。が、その門の下は、斜めにつき出した高い檐に、月も風もさえぎられて、むし暑い暗がりが、絶えまなく藪蚊に刺されながら、酸えたようによどんでいる。藤判官の屋敷から、引き揚げてきた偸盗の一群は、そのやみの中にかすかな松明の火をめぐりながら、三々五々、あるいは立ちあるいは伏し、あるいは丸柱の根がたにうずくまって、さっきから、それぞれけがの手当てに忙しい。
中でも、いちばん重手を負ったのは、猪熊の爺である。彼は、沙金の古い袿を敷いた上に、あおむけに横たわって、半ば目をつぶりながら、時々ものにおびえるように、しわがれた声で、うめいている。一時の間、ここにこうしているのか、それとも一年も前から同じように寝ているのか、彼の困憊した心には、それさえ時々はわからない。目の前には、さまざまな幻が、瀕死の彼をあざけるように、ひっきりなく徂来すると、その幻と、現在門の下で起こっている出来事とが、彼にとっては、いつか全く同一な世界になってしまう。