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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 頁

青空文庫

それでは一つ例を引こう。武士の亀鑑大石良雄は昼行灯であったそうな」

「お父上! ようやく解りました!」

「おお解ったか。それは重畳」

「私昼行灯になりましょう」

「ハッハハハ、昼行灯になれよ」

「きっとなってお目にかけます」

「昼の行灯は馬鹿気たもの、人は笑っても憎みはしない」

「御意の通りにござります」

「我が家は内藤家の二番家老、門地高ければ憎まれ易い。お前の性質は鋭ど過ぎ、これまた敵を作り易い。それを避けるには昼行灯に限る」

「昼行灯に限ります」

「お、白痴になれよ白痴になれよ」

その時襖が静かに開いて、茶を捧げたお石殿が部屋の中へはいって来た。

「徒然と存じお茶を淹れました」

「お母様」

と葉之助は、甘えた声で呼んだかと思うと、足を投げ出し横になった。「お菓子くだされお菓子くだされ!」

腕を延ばすと菓子鉢の菓子をやにわに摘んで頬張った。

「まあこの子は」

とお石は驚き、「平素に似ない行儀の悪さ、お前白痴におなりだね」

「アッハハハ、その呼吸呼吸!」

弓之進は手を拍った。

「これで我が家も葉之助もまずは安全というものじゃ。めでたいめでたい! アッハハハ」

八