輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 頁

青空文庫

で、彼はあきらめた。

同じ建物の壁に添い、西の方へ歩いて行った。やがて建物の角へ来た。サッと刀を突き出してみた。向こう側に誰もいないらしい。で、遠廻りに弛く廻った。

すぐ眼の前に亭があった。亭の縁先に腰をかけ、葉之助の方へ背中を向け、二人の男女が寄り添っていた。一基の雪洞が灯されていた。二人の姿はよく見えた。恋がたりでもしているらしい、淫祠邪教徒の本性をあらわし、淫らのことをしているらしい。

「斬りいい形だ。叩っ斬ってやろう」

葉之助は忍び寄った。掛け声なしの横撲り、男の肩へ斬り付けた。と思った一刹那、女がクルリとこっちを向き、ヒューッと何か投げつけた。危うく避けたその間に、二人の姿は掻き消えた。投げられた物は紐であった。紐が彼へ飛び掛かって来た。それは一匹の毒蛇であった。

で、三つに斬り払った。

行手は厳重の石垣であった。越して逃げることは出来なかった。

でまた彼は引き返した、こうして以前の場所へ来た。

反対の側にも建物があった。地面から五、六階の石段があり、それを上ると戸口であった。もちろんその戸は閉ざされていた。そこで彼は石段を上がり、その戸をグイと引っ張って見た。