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こうえんのはなとどくが
公園の花と毒蛾
小川 未明
線上閱讀小川 未明《公園の花と毒蛾(こうえんのはなとどくが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 18,574 字 · 38 頁
三
」
かく、小鳥は語りました。とこなつの花は、いつしか涙ぐましいまでに哀しさを自らの心にそそられました。そして、頭をもたげて身のまわりをながめると、あちらの脊の高い強そうな草は、無神経に、いつもと変わらず平気な顔つきをしているのでありました。
三
とこなつの花は、渡り鳥から、いろいろ世の中の有り様をききました。世の中というものは、かぎりなく広い。そして、こんなさびしい、頼りないところばかりが、世の中でないこともきかされたのであります。
小鳥の話によると、よく自分の運命にも似ているといった、船のほばしらの頂の赤い旗は、潮風にさらされたり、雨や、風に打たれて色があせたり、波のしぶきによって、黒く汚れが染み出ても、それでも幾日めか、幾月めか、海の上に漂った暁には、燈火の美しい、人影が動く、建物の櫛比した、にぎやかな港に入ってきて、しばらくはおちつくことができるのだと知られました。
それにくらべて、なんという自分は不幸な境遇であろう。このまま永久に、この野原にいなければならないのかと考えました。花はもうじっとして、それにたえていることができませんでした。そこで、とこなつの花は、小鳥に頼んだのであります。