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ふゆのはなび

冬の花火

太宰 治

線上閱讀太宰 治《冬の花火(ふゆのはなび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,986 字 · 44 頁

青空文庫

春までこちらに置いていただき、そうしてその間に、鈴木がむこうで家を見つけるという事になっていたのですけど。

(伝兵衛) スズキというのか、その男は。

(数枝)(おとなしく)そうです。

(伝兵衛)(いかめしく)その男と一緒になってから何年になる。

(数枝)(無言)

(伝兵衛) 聞かないほうがよいのか? よし、たいていわかった。(興奮を抑えつつ静かに、しかし、音声が変っている)出て行け。いますぐ出て行け。どこへでもかまわない。出て行ってくれ。睦子を置いて、いますぐその男のところに行ってしまえ!

(数枝)(顔を挙げて)お父さん、あなたは、あたしが東京でどんな苦労をして来たか、知っていますか。

玄関のあく音。

(継母のあさの声) お利口だったねえ、お利口だったねえ。寒くっても、ちっとも泣かなかったんだものねえ。

(睦子の声) そうしてそれから、睦子なんか、うんと役に立ったね?

(あさの声) そうとも、そうとも。おばあちゃんの財布を持ってくれて落さなかったんだものねえ。ずいぶん役に立った。とっても役に立った。

(睦子の声) だからこんども、おつかいに連れて行くのね?

(あさの声) 連れて行くとも、連れて行くとも。