輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ふゆがれ

冬枯れ

徳永 直

線上閱讀徳永 直《冬枯れ(ふゆがれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,850 字 · 48 頁

青空文庫

「おしッこだよウ……」

「よし、よし」

鷲尾は倅の凹んだたよりなげなウツロな眼や、でッかちになった頭などを、まるで夢心地でシゲシゲと凝つめながらやっと抱えあげた。便器に黄色い小便を少したらした子供は、寝床にねかすと白くカサカサな唇を開いて、「お湯ウ」と云った。

「もういいか?」

匙ですくってやるのを、金魚のようにパクパク吸いながら、病人は「ウン」と首をうごかした。

「ボク癒ったら、東京へ帰るんだねェ」

「ああ、だから早く癒るンだよ」

毛布をかけてやると、子供はおとなしくだまり、ウッスラと眼を閉じていた。青く萎びた頤や、微かな呼吸ごとにヒクついている痩せた小鼻のあたりを、じッとみているうちに、急に寒さを感じて、鷲尾はあわててドテラをひっかけた。

もう眠る気はしなかった。消えかかった火鉢に炭火をオコしながら、ときどきガタガタと軒を揺すぶる風の音や、近くの部落あたりかららしい二番鶏の声をきいていた。――

……それはたしか、郷里の田圃のようでもあれば、東京郊外のNあたりの原ッぱでもある景色だった。夕方のように暗くて、風が轟々と唸っているのだ。自分の前方を仲間の作家が現在は獄中にいる筈のNやTや、それから去年から……………Kなどが歩いている後姿だけが見える。