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しょとうのにっきから
初冬の日記から
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《初冬の日記から(しょとうのにっきから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,930 字 · 20 頁
しかしそんなことは心理劇でも何でもないナンセンス劇「ユーモレスク」には別に大した問題にするほどの問題ではないので、ともかくも夕刊売りのK嬢をして「あの男です、あの男です」と叫ばせ、満場を総立ちにさせ、陪審官一斉に靴磨きの「無罪」を宣言させ、そうして狂喜した被告が被告席から海老のようにはね出して、突然の法廷侵入者田代公吉と海老のようにダンスを踊らせさえすれば、それでこの「与太者ユーモレスク、四幕、十一景」の目的の全部が完全に遂げられる訳である。
とにかくなかなか骨の折れた手のかかったメカニズムであるが所々に多少のがたつきがあったり大きな穴が見えたりするにしても、おしまいまで無事に連続して運転するのはなかなか巧妙なものである。
エピローグとして最初と同じ銀座鋪道の夜景が現われる。ここで若い靴磨きが変な街路詩人の詩を口ずさみ三等席の頭上あたりの宵の明星を指さして夕刊娘の淡い恋心にささやかな漣を立てる。バーからひびくレコード音楽は遠いパリの夜の巷を流れる西洋新内らしい。すべてが一九三三年向きである。
この芝居を見ている間に、何遍か思わず笑い出してしまった。