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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《別れたる妻に送る手紙(わかれたるつまにおくるてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,985 字 · 103 頁
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長田は、丁度居たが、二階に上って行くと、平常は大抵此方から何か知ら、初め口を利くのが、その時は、長田に似ず、何か自分で気の済まぬことでも、私に仕向けたのを笑いで間切らすように、些と顔に愛嬌をして、
「今日も少し使者の来るのが遅かったら、好かったんだが、……明日でも自分で社に行くと可い。」と言う。
「うむ。なに、一寸相変らずまた小遣が無くなったもんだから。」と、私は、何時も屡くいう通りに言って、何気なく笑っていた。すると、長田は、意地悪そうな顔をして、
「他人が使う銭だから、そりゃ何に使っても可い理由なんだ。……何に使っても可い理由なんだ。」と、私に向って言うよりも、自分の何か、胸に潜んでいることに向って言っているように、軽く首肯きながら言った。
私は、「妙なことを言う。じゃ確適と此方で想像した通りであった。」と腹で肯いた。が、それにしても、彼様なことをいう処を見れば、今朝の使者が何処から行ったということを長田のことだから、最う見抜いているのではなかろうか、とも思いながら、俺が道楽に銭を遣うことに就いて言っているのだろう、それは飲み込んでいる、というように、