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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《十二神貝十郎手柄話(オチフルイかいじゅうろうてがらばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 127,035 字 · 254 頁
……あの時の喧嘩はカラクリなのでした。お蝶――女勘助の家へ――あの家は彼らの巣だったのでした。……逃げ込ませようためのカラクリだったのでした。それからの事はお話しなくとも推量する事が出来ましょう」
木曽の旧家
一
「あれーッ」
と女の悲鳴が聞こえた。貝十郎は走って行った。森の中で若い美しい娘が、二、三人の男に襲われていた。しかし貝十郎の姿を見ると、その男達は逃げてしまった。
「娘ご、どうかな、怪我はなかったかな」
「はい、ありがとう存じます。おかげをもちまして」
「それはよかった。家はどこかな、送って進ぜる、云うがよい」
「はい、ありがとう存じます。すぐ隣り村でございまして、征矢野と申しますのが妾の家で……あれ、ちょうど、家の者が……喜三や、ほんとに、何をしていたのだよ……」
「お嬢様、申しわけございません。道で知人に逢いましてな」
手代風の若者が小走って来た。こういう事件のあったのは明和二年のことであって、所は木曽の福島であった。
その翌日のことである。
「どなたか! あれーッ、お助けください!」
若い女の声がした。で、貝十郎は走って行った。