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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《十二神貝十郎手柄話(オチフルイかいじゅうろうてがらばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 127,035 字 · 254 頁
ッてね、声を揃えて唄っているのを、僕はハッキリ聞いたんだが、これもやはり蜃気楼かしら?」
「いやそれは空耳だよ。でなけれは聞き間違いだよ。潮の音か風の音かが、そんなように聞こえたのさ」
「でも繰り返して聞こえたがな」
「人間の耳というものは案外アテにならないものでね」日出夫は自説を曲げなかった。
ややあってジョンはまた云った。「君は伝説を信じるかね?」
「それは伝説の性質によるね」
「では烏の伝説は?」
「烏の伝説? 聞いたことがないね」
「一本足の大烏が、隠されてある宝の島へ、案内するという伝説だがね」
「で、誰が話したね?」
「土人司祭のバタチカンがね」
「いや僕は信じないね。……だって君そうじゃないか、一本足の烏なんてものはどこの国にだってありゃしないからね」
「ところがあったから面白いじゃないか、僕はこの眼で見たんだよ。僕はその烏に案内されて、島の表から裏側まで、つまり君の家へまで、やって行くことが出来たんだよ」
「なるほど」と日出夫は鹿爪らしく、「ほんとに君が見たのなら、そうして僕が君のように、その烏を見ることが出来たら、そうしたら、伝説を信じよう」
この言葉の終えないうちに、一羽の烏が林の中から二人の方へ翔けて来たが、すぐ前面の岩の上へ静かに止まって羽根を畳んだ。