輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《千曲川のスケッチ(ちくまがわのスケッチ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,668 字 · 164 頁
私は、佐久、小県の高い傾斜から主に谷底の方に下瞰した千曲川をのみ君に語っていた。今、私達が歩いて行く地勢は、それと趣を異にした河域だ。臼田、野沢の町々を通って、私達は直ぐ河の流に近いところへ出た。
馬流というところまで岸に添うて遡ると河の勢も確かに一変して見える。その辺には、川上から押流されて来た恐しく大きな石が埋まっている。その間を流れる千曲川は大河というよりも寧ろ大きな谿流に近い。この谿流に面した休茶屋には甲州屋としたところもあって、そこまで行くと何となく甲州に近づいた気がする。山を越して入込んで来るという甲州商人の往来するのも見られる。
馬流の近くで、学生のTが私達の一行に加わった。Tの家は宮司で、街道からすこし離れた幽邃な松原湖の畔にある。Tは私達を待受けていたのだ。
白楊、蘆、楓、漆、樺、楢などの類が、私達の歩いて行く河岸に生い茂っていた。両岸には、南牧、北牧、相木などの村々を数えることが出来た。水に近く設けた小さな水車小屋も到るところに見られた。八つが岳の山つづきにある赤々とした大崩壊の跡、金峯、国師、甲武信、三国の山々、その高く聳えた頂、それから名も知られない山々の遠く近く重なり合った姿が、私達の眺望の中に入った。