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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《南蛮秘話森右近丸(なんばんひわもりうこんまる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 頁

青空文庫

「何人かお助け下さいまし!」

救いの声を立てながら、ヒョロヒョロ逃げ廻るばかりである。

こうして民弥と猿若とは、せっかくここ迄は逃げて来たが、またもや人買の手にかかり、連れ戻されなければならなかった。

だがその時松火の燈が、手近の森陰から現われて、五人の人影が足を早め、近づいて来たのは何者であろう?

見て取ったのは民弥である。追い廻す人買を突きのけて、一散にそっちへ走り出した。

「民弥めが逃げるぞ、追っかけろ!」

人買が後を追っかける。

27

しかしその時には娘の民弥は、松火をかかげた一団の中へ、身を躍らせて飛び込んでいた。

「これは娘ごどうなされた」

こう云いながら見守ったのは、一人の立派な老女であった。他でもない浮木である。そうして現われたこの一団こそ、例の庭師の一群であった。

「はい」と云うと娘の民弥は、クタクタと土へ崩折れたが、「妾は京の片隅に住む民弥と申す者にござります。人買の手にかかりまして……」

「なに、民弥? ほほう左様か、これは幸、よい所で逢った。実はな、お前さまに逢おうと思うて、わざわざ山から下ったものでござるよ、……と云うのは他でもない、南蛮寺の謎につきましてな、お訊ねしたいことがあるからでござるよ。